研究概要 |
破壊のフラクタルは, 一見独立な2つの指標がある. 一つは破砕片の表面のフラクタル次元Dsと, 他の一つは破砕片のべき的サイズ分布の指数bである. 高安は安定分布の性質を使って, この2つの指標は関連していて, b=Ds/3の関係にあるだろうと推定した. 衝撃破壊では単位質量当りの衝撃エネルギーが増すとb値が大きくなることが経験的に知られている. フラクタル次元Dsも増加するか否かを実験的に調べた. 高速衝突によって破壊したガラスを試料とし, 破砕片のサイズ分布と表面積とを測定し, それよりフラクタル次元を求めた. 予想通り衝撃エネルギーの増加と共にフラクタル次元が増加する傾向が認められたが, Dsの絶対値を求めるだけの精度が未だ得られていない. 吸着気体の分子サイズを変えて表面積を測定する手法を改良して, 絶対値まで求める計画で続けている. 又, 試料の回収が不十分で同一試料についてb値を求めることは不成功であった. 次に, b値とDs値との相関をより良く調べるために, 異なる物質についてbとDsを測定した. ガラス, 石英, 方解石をくり返し破壊した試料についてサイズ分布と表面積の測定を行った. b値はこの順に増加する. Dsを信頼できる精度で測定するに未だ至っていないが, この傾向は報告されているこれら物質のフラクタル次元の傾向と一致しており, 高安の破壊モデルを支持するものと言える.
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