研究概要 |
衝撃波管を使用して, ノルマルブタンとイソブタンを1000K-1700Kの高温に加熱し, 高温熱分解反応の研究を行い, 次の結果を得た. 1.ノルマルブタンの熱分解反応における主生成物はメタン, エタン, エチレン, アセチレン, プロピレンであったが, その内, 特にエチレンの生成量は多く, 1500Kでノルマルブタンの初濃度の120%であった. アセチレンの生成量は高温になるにつれて増大し, 1700Kでノルマルブタンの初濃度の90%に達した. 微量生成物はアレン, プロピン, プロパン, ビニルアセチレン, 1.3-ブタジエン, トランスー2-ブチン, 1-ブテンであった. イソブタンの熱分解反応における主生成物はメタン, エタン, エチレン, アセチレン, プロピレン, プロピン, イソブテンであったが, エチレンの生成量はノルマルブタンでのそれに比べてほぼ半分であった. その反面プロピレンそしてプロピン生成量はノルマルブタンでのそれに比べてそれぞれ約二倍, 四倍であった. 又微量生成物はアレン, ビニルアセチレン, 1.3-ブタジエンであった. 2.赤外線レーザー吸収法を使用して, ノルマルブタンの高温熱分解反応における開始反応n-C_4H_<10>→C_2H_5+C_2H_5, n-C_4H_<10>→CH_3+n-C_3H_7の速度定数を6.1x10^<15>exp(-77kcal/RT)cm^3mol^<-1>s^<-1>,9.4×10^<15>exp(-81kcal/RT)cm^3mol^<-1>s^<-1>と決定した. 又イソブタンの高温熱分解反応における開始反応i-C_4H_<10>→CH_3+i-C_3H_7の速度定数を3.8×10^<15>exp(-81kcal/RT)cm^3mol^<-1>s^<-1>と決定した. 又このほか, 12個の素反応の速度定数を決定した. 3.両炭化水素の高温熱分解過程及び反応終了後の反応物濃度・生成物濃度を説明出来るノルマルブタンの高温熱分解反応機構(140個の素反応からなる)と, イソブタンの高温熱分解反応機構(109個の素反応からなる)を決定した.
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