研究概要 |
レーザー光分解およびプラズマ化学反応等を用いて, 不安定分子キュムレンとポリイン化合物を合成し, そのマイクロ波スペクトルの解析から詳細な分子構造定数を決定した. (1)1,2,3-ペンタトリエン, CH_2=C=C=CHCH_3 この分子は液体窒素で凍結しても一晩保存できないほどの不安定分子であるが, その合成およびマイクロ波スペクトルの測定に成功した. その結果, メチル基内部回転ポテンシャル障壁の高さ, 双極子モーメント分子構造を得た. (2)フルオロアレン, CH_2=C=CHF フッ素を除くすべての同位体種のマイクロ波スペクトルの測定に成功した. 特に, 重水素化物の合成はエキシマレーザー光分解反応により効率良く行った. その結果, アレン誘導体のC=C=C結合の結合角が直線でなく, 1.8°程フッ素の反対側に曲っていることをはじめて見出した. (3)メトキシアレン, CH_2=C=CHOCH_3 アレンのエーテル化合物として, 最初のマイクロ波スペクトルの測定を行い, メチル基内部回転ポテンシャル障壁の高さ, 双極子モーメントおよび分子構造を決定した. その結果, 内部回転障壁の高さは類似分子メチルビニルエーテルよりもかなり低いことを見出した. (4)ヘキサフルオロベンゾニトリルとトリフルオロベンゼンの放電分解 F-C≡C-C≡C-HやF-C≡C-C≡Nなどを合成する目的で, C_6H_5C≡NとC_6H_3F_3のテスラー分解を行った. ガスクロ, マススペクトルおよびマイクロ波スペクトルから, 上記の化合物の他, F-C≡C-H, F-C≡Nなどの化合物を検出した. (5)放電中の重水素とプロピレンとの反応 D_2の放電で生成したD原子とCH_2=CHCH_3を反応させたところ, すべての位置にD置換が起ることを見出した.
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