研究概要 |
遠赤外領域(波長40〜1000μm)での高分解能, 高感度分光は主に波長固定のレーザー線を用いたレーザー磁気共鳴法で行なわれてきたが, 対象が常磁性の分子に制限されていた. 本研究ではCO_2レーザー励起遠赤外レーザーとマイクロ波をショットキーバリアーダイオード上で混合し, サイドバンドを発生させ, マイクロ波の発振周波数を変えることにより遠赤外領域における波長可変性を実現する. 装置は高出力CO_2レーザー, 遠赤外レーザー共振器, マイクロ波, 偏光型干渉計, 吸収セルの部分よりなる. CO_2レーザーは本研究所設置のアポロ社のものを用いたが, 出力, 周波数安定度が悪かったので, 新たに製作することにし, 現在レーザー管を購入し, 組立てを行っている. 遠赤外レーザーの高出力化を行い, 現在CO_2レーザー光30Wで数mWの遠赤外光出力(CH_2F_2レーザー)を得ている. 干渉計のためのコーナーキューブ反射鏡, 遠赤外偏光板の設置及び光学系の整備を行った. 申請時の計画にはいっていなかったが, 遠赤外レーザーの調整のため, ストレージオシロスコープを購入した. また放電型吸収セルも設計, 製作し磁気共鳴法に使用し, X^3Σ^-のOH^+の吸収線を観測できた. この放電セルでは, 水素と酸素の化合物で, 従来報告されていない吸収線がいくつか観測されたので, 分子種の帰属を検討している.
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