研究概要 |
1)ジケトスルフィドからの1.4-ジチインの合成と1.4-ジチインの脱硫によるチオフェンの生成を利用し, すべてのチオフェン環がα位で結合した ター, クォター, キンク, セクシ, セプチ, オクチの6種のオリゴチオフェンの合成を完結した. 2)ジケトルフィドの低原子価チタンによるシスー3.4-ジヒドロキシチオランへの還元と, その脱水による新規チオフェン合成法を開発し, 本反応を利用して, チオフェン環がα位とβ位で交互に連結した各種オリゴチオフェン類の合成を行った. 3)ジケトスルフィドの低原子価チタンによる還元では, シスー3.4-ジヒドロキシチオランが選択的に生成することを見出し, これらの化学物をラネーニッケルで脱硫することによる, エリスロ及びトレオー1.2-ジオール類の選択的合成法を確立した. 4)2)に述べたチオフェン合成法を利用し, 従来, 合成が極めて困難であった. 隣接位に二つの崇高いt-ブチル基を有する3.4-ジーt-ブチルチオフエンの驚くほど簡単な合成法を開発した. こうして得た3.4-ジーt-ブチルチオフエンの反応性を検討し, 本化合物には, 従来のチオフェンには見られない種々の異常性があることを示した. 5)ジケトスルフィドの分子内アルドール縮合を利用し, 抗炎症作用, 利尿作用などを有する一連のジヒドロチオピランー3-オシ類の合成を行った. また, この間, 硫黄原子が隣接関与した環縮小反応を見出した.
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