研究概要 |
1.1-フェニルセレニル糖の合成:ハロゲン糖をジフェニルジセレニドと金属ナトリウムとで処理する方法, アセチル糖をイス酸存在下フェニルセレニルトリメチルシランで処理する方法, および1位水酸基遊離の糖誘導体をジフェニルジセレニドとトリブチルホスフィンとで処理する方法により, それぞれ相当する1-フェニルセレニル糖誘導体を合成した. 2.分子内に電子付則なオレフィン構造を有する糖誘導体の合成:一部遊離の水酸基を有する糖誘導体を, トリエチルアミンージメチルアミノピリジン存在下塩化アクリロイルで処理する方法, およびt-ブトキシカリウムを触媒とした均一系あるいは硫酸水素テトラブチルアンモニウムを触媒とした二相系でプロピオール酸エチル, アセチレンジカルボン酸ジメチル, ブチン酸メチル, アクリロニトリルなどと処理する方法により, それぞれ分子内に相当するオレフィン構造を有する糖誘導体を合成した. (口頭発表予定:日本化学会第56春季年会, 昭和63年4月, 東京). 3.分子内に電子付則なオレフィン構造を有する1-フェニルセレニルの糖の合成:上記1の方法と2の方法を組み合せることにより分子内に種々の電子不足なオレフィン構造を有する1-フェニルセレニル々誘導体を合成した. 4.ラジカル反応:上記3で合成した糖誘導体をベンゼン中, 加熱還流下トリブチルチンヒドリドとアゾビスイソブチロニトリルとで処理することにより, それぞれ相当するC-グリコシル化合物を合成した. これらのラジカル環化反応は非常に効率よく進行し, またそれらの位置選択性, 立体選択性も著しく高いことが判明した. 生成する可能性のある位置異性体, 立体異性体8種ないし12種のうち殆んどの反応で1種の異性体のみが75〜95%の収率で得られている. (口頭発表:第8回有機合成化学協会新潟シンポジウム, 昭和62年12月, 新潟).
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