研究概要 |
ポリアクリルアミド(PAA)の非プロトン性極性有機溶媒中の目的イオンに対する特異的な化学的機能を持たせるため, ポリオキシエチレン誘導体(POE4, POE6, DBI8C6など)を化学結合させた. ガラスフィルター上のPAA-POE4または6, あるいは, PAA-DB18C6を膜形成して隔膜とし, アセトニトリル(AN)中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属イオンの選択的膜透過を電気伝導度変化を測定することによって追跡した. さらに電気伝導度を測定するセル内のAN溶液にクラウンエーテルヤクリプタンドを溶解して, イオン輸送の促進の程度を調べた. 一部は第33回ポーラログラフィーおよび電気分析化学討論会(於:奈良教育大, 1987・9, 予稿集P.28)において発表した. イオノフォアンイオンとの錯形成能と膜輸送とは深い相関関係を示した. また上記有機高分子を感応膜として作裂したイオン選択性電極のAN中およびプロピレンカボネート(PC)中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属イオンに対する電位応答挙動を調査し, PAA-POE4電極がPC中のリチウムイオン, マグネシウムイオン, バリウムイオン用のイオン電極になること(第18回中部化学関係学協会支部連合秋季大会, 信州大学, 1987・10, 予稿集P.503), さらにこの電極はAN中のリチウムイオン, DMF中のマグネシウムイオン, および, バリウムイオンにネルンスト応答することを確認した. (第56日化春季年会で発表予定). また, サイクリックボルタンメトリーにより, これらイオン電極の電位が溶液-膜界面における電位と, 膜内に蓄積されるイオンによって決まる電位との和であることを確認した. この一部は前記奈良教育大において, マタ広島において1987年7月に開催された「大環状化合物の化学に関する国際会議」において発表した(同予稿集PP.84-5).
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