研究概要 |
多数のピリミジンあるいはアミドを配位子とする白金ブルー類の化合物を合成し, その制癌性を白血病L1210に対してテストした. そのうちウリジンを配位子とするブルー錯体(crude)のゲルロ過により得られたウリジン・グリーン, 〔Pt_4(C_9H_<11>N_2O_6)_4(NH_3)_7(OH)〕(SO_4)_<24>・_<34>・3H_2Oは, 特に高い制癌性を示した(T/C=221%). 従来白金ブルー類は, 合成の再現性が悪い等の問題があったが, このウリジン・グリーンの合成に関しては, 過酸化水素や酸素とメチレン・ブルーの組み合わせにより生成する一重項酸素による酸化を取り入れることにより, 再現性, 収率ともに良く合成できることがわかった. 一方, ウリジン等の核酸塩基のモデルとしてα-ピロリドンを用いて合成した同種の化合物, シスジアミン白金α-ピロリドン・タンに関しては, 各種の塩を合成し制癌性をテストした. そのうち, トリデカンスルボンサン塩〔Pt_4(NH_3)_8(C_4H_6NO)_4〕(C_<13>H_<27>SO_3)_6, に制癌作用が認められた. (T/C=136%). これらの白金錯体は酸素の活性種である過酸化水素やスーパーオキシド(O_2^-)等と反応することがわかっている. このような活性酸素種との反応をより広く理解し, 生体内で起こると予想される反応を知る意味で, これらの白金錯体のスーパーオキシド・ジスムターゼ様活性を測定した. 方法は, KO_2とNBTを用いてNBT還元体の吸光度を測定するKO_2法と, キサンチンとキサンチンオキシダーゼで発生させたO_2^-をDMPOによりスピントラップし, ESRで測定するESR法による方法を両方試みた. いずれの白金錯体も天然のスーパーオキシド・ジスムターゼと同等またはそれ以上の活性を示したが, 両方法では活性の強さにやや違いが見られた. 今後, この原因については, 検討しなくてはならない.
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