研究概要 |
1.既に明らかにされたRhodobacter sphaeroidesのチトクロームb-562はチトクロームb-c_1複合体を構成する酸化還元成分であるが, このチトクロームのアミノ酸配列とヘムを配位すると考えられるヒスチジン残基の位置, および疎水性部分の決定より, ヘムの膜内での配置のモデルが提出された. それによると, nativeな状態ではチトクロームb-562はdimerで存在し, 第4番目の疎水性部分の2つのヒスチジン残基が一対となって2個のヘムを配位していると考えられる. ヘム間の距離は膜の厚さの約半分であり, このモデルは, クロマトフォアを用いての分光的測定結果から予想されたヘム間の距離とよく一致した. 2.(1)チトクロームb-562の構造遺伝子を含む7.3KbpのDNA断片についてチトクロームb-562の構造遺伝子の上流のDNA配列を約50残基, 下流のDNA配列を約50残基調べた. しかしこの範囲では特定の遺伝子の開始又は終了に相当すると思われるコドンは検出できなかった. (2)先に使用したチトクロームb-562の合成オリゴヌクレオチドプローブを用い, R.sphaeroidesの全DNAに対しSouthern hybridizationをおこない, ハイブリダイズするEcoRI断片をくわしく調べたが, ハイブリダイズするものは7.3Kbp断片だけであった. このことは, もしb-c_1複合体の遺伝子群が1つのオペロンに属しているならば, チトクロームc_1や鉄イオウ蛋白の遺伝子もこの7.3Kbp断片に含まれている可能性が強いことを示唆する.
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