研究概要 |
本研究は細胞周期内で時期的隔離(Temporal separation)によりそれぞれ光合成と窒素固定を行う単細胞藍藻(Synechococcus sp Miami BG43511)の細胞周期内での光合成酸素発生能の大きな変動の起因を調べる事を目的とした. 細胞周期内での酸素発生能の高い時期と低い時期の細胞の光化学系II,I,II+Iの活性を酸素電極を用いて調べる為にそれぞれ水→ジメチルキノン(DMQ), ジアミノデュレン(DAD)→メチルビオローゲン(MV), 水→MVと言った反応系を用いる事とした. しかし, 無処理の細胞では酸素型MVやDADの透過性が低く活性の測定が出来ないので膜の透過性を高める為にリゾチーム処理を行う事とした. 先ず, ランダムに生長した試料を用いてリゾチーム処理培地と活性測定用反応溶液の組織について検討を行い, DAD→MV, 水→MVの反応系ではそれぞれ約7-10,2-4μmο10/_2/mg・ch1/minと言う活性が得られた. 次に, ここで求めたリゾチーム処理条件を使い同調培養した試料の活性について調べた. 光合成の時期の細胞では水→DMQ, DAD→MV, 水→MVの活性がそれぞれ約4,10,4μmο10_2/mg・ch1/minであり, 窒素固定の時期の細胞ではそれぞれ約1.5,4,3.5μmο10_2めmg・ch1/minであった. 窒素固定の時期の細胞の水→MVの活性が高い様であるが, これはDCMUを添加してもある程度の活性が認められる事から, 固有物質が電子供与体としてその活性に貢献している事によると考える. 窒素固定の時期には全体的に光化学系の活性が低下している様であるが, これが細胞周期内での光合成能の大きな変動の起因であるとは考えられない. 現在の所, 窒素固定の時期の光合成酸素発生の低下は固有物質から光化学系Iへの電子供与が関与しているのではないかと考え, 研究を進めている.
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