研究概要 |
新たな知見および成果: (1) ホウレンソウの光科学系II膜には種類以上の表在性タンパク質分解酵素が結合している。 (2) 上記のうちの1つは、光合成水一酸化系の23-KDaタンパク質中のPhe-Gly結合を切ることができる。この酵素SH試薬で阻害される。 (3) 他の1つは、光合成水一酸化系の18-KDaタンパク質中のPro-Ile結合、およびPro-Leu結合を切ることができることからプロリルエンドペプチデース (E,C,3,4,21,26) であろうと考えられる。 ホウレンソウの光化学系II膜から、疏水性クロマトグラフィー,陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーによりタンパク質分解酵素が精製された。酵素活性は18-KDaタンパク質を基質にすることにより測定された、本酵素はゲルろ過クロマトグラフィーでは156KDaと39KDaに溶出ピークを示したが、両ピークともSDS電気泳動では39KDaのポリペプチドを示した。再クロマトグラフィーを行うと、何れのピークも156KDaと39KDaの両方のピークを生み出した。これらの結果は、本酵素が39KDaのサブユニットからなる4量体を形成することを示唆している。 本研究によって精製された酵素はチラコイド膜から精製された初めてのタンパク質分解酵素である。本酵素の生理活性は不明であるが、本酵素の基質に成り得るタンパク質の種類が少ないことから、不特定多数のタンパク質を分解するための酵素とは考えられない。むしろある種のプロセシング酵素としてチラコイド膜構築に必要な酵素のように思われる。
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