研究概要 |
若い火山岩のK-Ar年代測定の目的は火山岩の噴出年代を知ることにある. 微量アルゴン定量分析技術の確立はそれを可能にして来た. しかし, 火山岩のK-Ar年代は必ずしもその噴出年代を示さないらしいいくつかの事実も知られて居り, 微量アルゴン分析技術の確立のみが天然試物に対して充分に応用できる状態を確立することにはならないことも知られて来た. このギャップを埋めるためには, 火山層序が詳しく検討されている火山体で, つまり噴出順序がはっきり区別されている火山岩類を最新の分析技術でK-Ar年代測定し, その噴出順序を確認する手順を踏む必要がある. それをいくつかの火山体で実行し, 最新のアルゴン分析装置及び技術によるK-Ar年代測定の検出限界や分配能を天然試物を使って検証する必要がある. そこで本年度は中部地方白山火山, 九州阿蘇火山, 伊豆大島三原山火山, 関東塩原火山について試物採集とK-Ar年代測定して来た. 現在までに三原山火山を除く3火山体について検討が終った. その結果, 我々が開発したK-Ar年代測定装置及び技術では, 分解能が数万年であった. カリウム濃度が3wte%程度あるとき数万年前に噴出した溶岩類まで適用できることが明らかになった. それとともに, 火山岩が持つ様々な特性(K-Ar年代測定おける)が整理されて来た. その特性はマグマの性質に深くかかわっている可能性があり, 希ガス同位体分析からの解析からマグマの成因やマグマリザーバーでのマグマの状況等が議論できるようになりつつある.
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