研究課題/領域番号 |
62540602
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鎮西 清高 京都大学, 理学部, 教授 (70011517)
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研究分担者 |
大野 照文 京都大学, 理学部, 助手 (40194245)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1988年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 二枚貝 / マガキ類 / 化石カキ類 / 殼構造 / 適応戦略 / 軽量構造 / 固着性浮遊物食者 / 固着性二枚貝 / 浮揚戦略 |
研究概要 |
研究の目的:マガキなどの固着性二枚貝のなかには、泥底上で自由生活をおくっているものがある。本研究の目的は、1)固着性という制約のもとで彼らが泥底に生活する場合、殼の内部構造ことに空隙の多い軽量構造がどの様な役割を果たすか、及び、2)化石で、厚い殼をもっていて生息姿勢がわからないものについて、殼構造と、泥上に浮いていたとしたときの姿勢を調べ、軽量構造の適応的意義を明らかにすることにある。 研究成果:1)石灰質の殼の内部にみられる軽量構造について、走査型電顕によって微細構造を詳しく観察し、カキ類には3種類の違うタイプの構造があることを確かめ、それらを記載した。2)マガキについて、生体の全比重と周囲の泥質堆積物の比重を比較したところ、マガキは、泥より約0.1〜0.2ほど比重が軽く、泥上に浮いて生活していることを確かめた。またその主な原因は、殼の軽量構造にあることも確かめた。3)化石の厚殼カキ類について、みかけは緻密なその殼構造が、チョーク層の空隙中に方解石が二次的に沈澱する続成変質の結果生じたものであることを確かめた。4)こうして化石殼の原構造を復元し、それにもとづき、カキの生息時の泥上に浮いていた姿勢を推定した。単純な力学的計算では、二枚の殼の接合面を泥底に平行にしても垂直にしても安定が成り立つが、現実には、復元力の大きい接合面が泥底に平行、という姿勢をとっていたと推定される。またこの姿勢によって殼が厚く成長する理由などが説明できる。5)さまざまな無脊椎動物の骨格・殼に同様の軽量構造が発見された。 カキにおける殼の軽量構造は、泥上に浮いて生活する、急速に成長する、殼を厚くして捕食からのがれる、殼の形態を調節する、などの様々な目的に利用され、カキ類の生息にとって鍵となる形質であると結論された。
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