研究概要 |
まずルビジウム原子の共鳴周波数に半導体レーザを同調させるための制御装置を製作した. これによりルビジウムの飽和吸収分光を行い, ルビジウム共鳴周波数の高精度測定を行った. その結果ルビジウム温度変化1度あたり共鳴周波数が+8MHzシフトすることを初めて見いだした. この共鳴周波数を基準にして半導体レーザの周波数を安定化し, 周波数揺らぎを34kHzまで抑圧することができた. つぎにルビジウム原子の光・マイクロ波二重共鳴分光を行った. ここではマイクロ波周波数偏重, および三準位系のルビジウム原子の非線形感受率を利用した新しいFM分光法を提案し, マイクロ波遷移周波数を高精度で測定した. さらにその周波数がレーザ周波数のいずれによりシフトする現象(光シフト)も測定した. この測定結果をもとに真のマイクロ波遷移周波数を高精度で見いだすための自己同調制御方式を開発し, マイクロ波周波数確度として4x10^<-11>を得た. さらに光励起時に特有のダイナミックシュタルク効果に伴うスペクトル変形を見いだした. この変形特性を理論的に解析し, ダイナミックシュタルク効果の特性を定量的に評価した. さらに原子を静止するための原子ビーム装置を設計, 製作し, 原子ビームの炉温度, ビーム密度, ビーム指向性の間の関係を測定した. また, 上記の分光実験の結果および原子ビームの特性をもとに, レーザ冷却のために必要なレーザ周波数掃引速度を実験的に決定し, 掃引のための周波数制御装置を製作した. 以上によりレーザ冷却によるルビジウム原子の静止の基礎データをとることができ, 当初の目標が達成された. 今後, 装置の改良により, より高精度の実験結果が得られると推測される.
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