研究概要 |
本研究の目的は, 特定の生体組織を自動認識する技術の確立を目指して, 1.可視域を100-1000等分した各波長における生体の2次元画像を干渉法により測定することができる実験用のシステムを試作し, 2.再生データの信号対雑音比の検討とその改善を行ない, 3.多波長画像を利用した生体の特定組織の認識アルゴリズムの基礎的検討を行なうことであった. 今年度に行なった研究で得られた新しい知見を以下に示す. 1.試作したシステムによる分光映像(64X64X64)の再生実験の結果, 予想以上に信号対雑音比の良い再生像を得た. このことにより, 本計測方式の有用性を実証することが出来た. 予想以上の結果が得られた理由は, 本研究費の大半を高速画像演算装置に投入したためである. この高速画像演算装置の実時間画像積算処理機能により, 入力信号の信号対雑音比を飛躍的に向上させることが出来た. 以前からの予備的研究の結果, 干渉計からの入力信号の信号対雑音比が非常に重要なファクターであることはすでに予想されていた. 2.認識のための相関処理については, 2次元信号の基礎実験を行ない, 良好な結果を得ている. 3次元信号については, 予想以上に信号処理計のメモリーを必要としたために, 実験を行なうことが出来なかった. 3.以下の問題点も明らかになった. すなわち, ビデオ信号から得られる時系列多画像3次元データを入力して利用し, 3次元スペクトルを求めると, 空間的な原点を通る時間軸上に異常に強いノイズスペクトルを発生した. ビデオ信号独特のエイリアジング誤差とも考えられるが, 正確な原因の究明とその対策はまだ行なっていない. 今後, 原因を明らかにして行く予定である.
|