研究概要 |
船舶, 原子炉, 圧力容器を代表として多くの機械や構造物の構成部材として用いられている厚肉の圧延鋼材には, 圧延, 鍛造等により偏平化あるいは棒状化した多数の空か, 介在物が存在する. 圧延鋼材の疲労における破棄と異方性はこれらの介在物の計上, 配置, 接着状態, 負荷条件等に依存している. これらの特性を明らかにするために楕円体状介在物を有する弾性体を弾性解析および光弾性実験により応力解析し, さらに厚板鋼板を用いた疲労実験を行い以下の結果を得た. 1.楕円体状介在物を有する弾性体が剪断荷重ならびに剪断のeigen歪を受ける問題を上りを許したとき, 完全接着の条件下で解析した. 上りを許した場合, Eshelbyが示した完全接着のようには介在物内部の応力は一定ではなくなる. 応力集中は介在物が柔かい場合及び棒状介在物の場合に大きくなる. 介在物の横弾性系数及び形状比は応力集中に大きく影響するかポアソン比の影響は小さい. 界面に上りを許すと複合材料の平均弾性係数は小さくなる. 2.楕円体状介在物が半無限体内に存在し, 一様引張りあるいは一様なeigen歪を受ける場合を解析した. 3.光弾性実験では楕円体状空かを有する円柱が引張りを受ける場合を解析し, 類似の理論解と比較し良好な結果を得, さらに解析の困難な場合のデータを得ることができた. 4.疲労実験ではS45C材の厚板鋼板を圧延方向に切り出し, 半円人工き裂を入れ, 繰り返し片振り荷重を加え, 人工き裂より発生するき裂を観察することにより円板状介在物を有する圧延鋼材のき裂進展特性及び下限界特性について検討した. 表面き裂は, 初期は人工き裂の影響を受けるが半円形に近い形で進展し, リガメントが小さくなると偏平化し初め, 偏平化を強めながら進展し, 破断に至る. これらの異方性については圧延方向と異なる方向から試験片を切り出す必要があるが現在鋭意実験中である.
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