研究概要 |
現在, 生産加工分野では, エネルギ問題, NICS諸国の追い上げ, 消費者のニーズの多様化等の問題を抱え, 生産システムの合理化, 高付加価値製品の生産などが強く望まれている. レーザ・レオロジー・プロセッシング(略LRP)はこのような要望に応えるべく考察された加工システムで, このLRP加工によれば, 任意の形状が自由に創成でき, 入力材料を自由に選択はできるので, 非常にフレキシブルで一貫性があり且つ幅広い加工が行える. LRPにおける加工現象を素材の温度分布測定と金属粉末の結合の発達の観察より, 基礎的メカニズムを解明し以下のような成果を得た. 1.鉄粉と流動パラフィンを用いた試料片の熱伝導率は10〔w/m°C〕以下で, 加工中試料片内に1〔mm〕あたり100〔°C〕以上もの温度差が出来てしまう. また酸化によりこの値はさらに悪化する. 2.鉄粉は, レーザ照射により粒子間に圧力が加わっていないと, 鉄粉の融点(1535°C)より少し低い温度である約1490〔°C〕で粉末表面だけが融解して結合が行なわれる. LRPにおいてはこの温度での加工が適している. そこでLRP加工法を実用的なものに近付けるためには, 成形時の素材の圧力をあげ, 温度を制御し素材内の温度を均一に近づけ, 融点より少し低い温度で加工を行なうことが必要である. そのためには, 現在考えられることとして, シリンダの改良により素材の圧力をあげること, 素材の種類, 粒度, 押しだしたときの厚さなどの検討や, 熱供給方法の改良により素材内の温度を均一にすることなどがあげられる.
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