研究概要 |
まず, 高濃度微粉炭スラリー燃料の微粒化に関する基礎的実験成果をもとに二流体形及び減圧沸騰形の燃料噴射ノズルを設計試作し, 性能試験を行った. この結果, 二流体形では燃料と微粒化媒体の内部混合を促進させることで, また減圧沸騰形ではナトリウム系スラリー添加剤を用いれば過熱度を高くとれるため, ともに良好な微細噴霧が得られることが明らかとなった. また, 円筒形モデル燃焼炉を用いて噴霧燃焼実験を行った結果, 燃焼用空気流に比較的強い旋回運動を与えて内部再循環する高温燃焼ガスの噴霧流への巻き込みを促進させるとともに, 比較的広噴霧角の非分割微粒噴霧を採用して噴霧粒子の急速加熱を行えば, 安定した着火保炎性能の得られることが判明した. また, k-ε2方程式乱流モデルとPSI法を組み合わせて乱流空気流中の噴霧流動に対する数値シミュレーションを行い, 局所噴霧粒度分布や噴霧粒子の乱流拡散状態を定性的に説明できることを示した. さらに, 高負荷燃焼を維持しながら二段燃焼実験を行い, 燃焼効率を低下させずに有効な低ノックス燃焼の条件を得るためには, 二次空気導入位置をガス状揮発成分の活発な燃焼のほぼ終了した目視ガス状火炎の後方にとるとともに, 一次空気比を充分小さくとれるように, 高負荷燃焼条件を維持してバーナ部の着火保炎特性を良好に保つ必要があることを明らかにした. これらと並行して, 燃料噴霧粒子個々の燃焼挙動に注目した基礎試験を行った. まず懸垂法によりスラリー燃料の単一液滴燃焼実験を行って原炭粒子の燃焼挙動と比較した結果, スラリー燃料は含有水分の蒸発により着火遅れ時間が著しく増大するものの, その後の燃焼は原炭粒子と酷似していることが分かった. さらに噴霧粒子群を高温ガス内に導入して粒子間の強い相互作用のある条件下で燃焼挙動を調べ, 噴霧群の着火遅れ時間は揮発成分の放出速度が律速条件となることを確認した.
|