研究概要 |
本研究ではアセチレン拡散火炎より連続的に発生したすすを試料として, すすの酸化速度に及ぼす影響を雰囲気温度, 酸素濃度, すすの発光状態(表面状態)の影響について調べた. まず発生したすすをすす酸化用二次気体と共に一定温度に保った酸化筒へ流入させる. この時, 酸化筒入口におけるすす粒子径を測定しておく. 酸化筒出口ですすがちょうど燃え切るように酸化筒の長さを調節し, 酸化筒長さおよび酸化筒内の流速よりすすが燃え切る時間を求め, これを完全酸化時間とする. なお, すす粒子径はすす粒子群に照射したヘリウムネオンレーザ光の散乱光角分布をミーの光散乱理論によるものと比較することにより求めた. また, すす酸化用二次気体には, 空気, あるいは酸素と窒素とを混合したものを用いた. すすの燃え切りの確認には, 酸化筒出口にヘリヲムネオンレーザ光を通過させ, 透過光の減衰がほとんど無いことを確認することにより行った. 本実験装置を用いて, 酸化筒内雰囲気温度を946〜1087K, 酸素濃度を8.5, 17.5%と変化させ, さらにすすの発光状態がオレンジ色と暗赤色の状態のものについて実験を行った. まず, 酸化筒入口におけるすす粒子径は, いずれの条件においても約121nmとなることがわかった. このすすの完全酸化時間を測定し, すす粒子が球形, 単分散であるとしてすすの酸化速度を求めた. その結果, すすの酸化速度は雰囲気温度の上昇とともに増加すること, 酸素濃度が大きくまたすすが発光した状態(オレンジ色)の方が酸化速度が大きいことがわかった. すすが発光している場合にはすす粒子の表面温度が高く, 反応が活発に行われていると考えられる. また, 本研究によるすすの酸化速度は従来の研究のものより大きな値となった. これは, すす粒子の表面状態(温度や微細な形状)やすすの組成などの違いによるものと考えられる.
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