研究概要 |
原動節, 媒介節および従動節より構成されるリンク機構の設計問題は, 要求された従動節の運動に必要な原動節の能力を最小にする媒介節の形状を最適に決定する問題として一般に把握できることが多い. ここで原動節の必要能力は, 一般に原動節に作用する力または動力の最大値に基づいて定まるから, 媒介節形状設計問題は上記最大値を最小化するミニマックス型最適化問題として定式化されることになる. 本研究では, パワーショベル・リンク機構を対象として, ミニマックス型非線形最適化手法を導入した形状設計法を確率し, 原動節駆動装置の必要能力を約10〜15%低減できることを大型計算機により数値滴に確認することができた. その設計手法は, 複数の閉ループ構造を持つ3自由度の複雑なリンク機構の動力学解析を, 数式処理機能を有するプログラムREDUCEを援用して実行し, 一般縮小勾配法による最適形状計算を実行していくものである. また, 静力学関係のみならず慣性力などの動力学関係を考慮した場合の最適形状設計の比較検討も行った. また上記設計手法の有効性を実験的に検証するために, 現有のパワーショベル駆動用リンク機構実験装置に力計測装置を付加して, 実験を実施する予定であった. しかしながら, 予算の制約上, 本年度はポテンショ・スイッチ電源ボックス, 力計測ポテンショおよび動作制御用インターフエース装置のみしか購入することができず, パワーショベル駆動計測装置全体を完成させるには到らなかった. 今後ADコンバータ, マイクロコンピュータ, I/Oボードおよびインターフェースス等を購入して是非実験的にも上記最適形状設計法の有効性を確証したいと考えている. なお, 上記設計法は一般性を有すると考えられるので, 他のリンク機構の形状設計問題に適用を試みた. その結果, 手法の有効性を数値計算上確認することができた.
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