研究概要 |
本研究は小形, 堅牢で経済的な誘導発電機と電圧形PWMコンバータおよびインバータを組み合わせた新しい発電システムに関し, 発電効率の向上や出力電流波形の改善などシステムの高性能化を計るとともに, 風力発電に応用する場合の制御方法について理論的および実験的な検討を行うことを目的とした. 本研究の種な結果は次の通りである. 1.発電機の効率改善のため, PWMコンバータで励磁される場合の誘導発電機の各種損失について詳細な検討を行った. 特に, 二次高調波銅損については, 二次抵抗の周波数特性および一次電流の周波数スペクトラムより算出できること, その低減のためにはスイッチング周波数を高くして発電機の電流脈動を小とする必要があることを明らかとした. 2.風速の変化に対して常に高効率で最大出力を得るため, 発電機トルクを軸速度の二乗に比例させるとともに, 磁束レベルを軸速度の3/2乗に比例させる最適制御法を検討し, その有効性を風車シュミレータを用いた実験により確認した. 3.電力系統に力率1の正弦波電流を供給するため, PWMインバータにより発生する高調波をT形高域阻止フィルタの挿入により吸収する方式の検討を行った. この場合, フィルタのインダクタンスおよびコンデンサの共振のため過渡時に大きな振動電流が流れることが問題となったが, 電流およびその変化率を帰還してインバータのPWM制御を行うことにより, 安定で良好な電流波形を得ることができた. また, 電流制御系の理論的な解析により最適な過渡応答を得るための帰還利得を明らかとした. 4.風車を模擬した風車シミュレータにより誘導発電機を駆動し, 本発電システムを風力発電に応用する場合の定常及び過渡特性を詳細に検討した. 特に, 過大な風速に対しては, 風車のピッチ過度制御を併用することにより回転数の異常な上昇を防止でき, 良好な過渡応答が得られた.
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