研究概要 |
オーバーサイズ円筒空胴多素子構造を用いた発振器の出力合成率の増大, および電力増幅器の高合成率・広帯域化を目指した理論的・実験的研究を行い, 以下の成果を得た. (1)円筒空胴多素子構造における不要モード抑制のためのマイクロ波吸収体の導入に関する実験により, 希望モードの電界零点に配置したリンブ状吸収体が高効率出力合成に最適であることを見出した. (2)TMonoモード(n=2, 3, 4)およびTMm10(m=2.8)を出力合成モードとする窓出力形円筒空胴多素子発振器について出力合成実験を行い, TM_<020>およびTM_<210>モードではほぼ完全出力合成が達成でき, これら以上の高次モードでは出力合成率が低下するものの, TM_<040>モードよりもTM_<810>モードを用いる方が高い合成率が得られる, という結果を得た. (3)多素子構造の原形である導波管空胴2素子構造について, 空胴内電磁界のFEM解析と出力合成実験とを行うことにより, 素子-電磁界結合が大きくなるほど, 空胴内損失が減少し, 出力合成率が高くなることを明らかにした. (4)TMonoモード多素子円筒空胴(n=2, 3, 4)のFEM電磁界解析により, 素子数および素子ポストと空胴中心との距離に対する素子-電磁界の変化を求め, 各モード空胴における最適素子配置を見出した. この結果を用いて設計したTM_<030>モード多素子空胴の出力合成実験では, 上記(2)の対応する結果よりも28%も高い出力合成率を得ることに成功した. (5)TM_<020>モード多素子空胴を用いた電力増幅において, 空胴の高さを1/2にすることにより, 外部Qをほぼ1/2に, また増幅帯域をほぼ2倍にすることができることを, 実験的に示し得た. (6)2つのTM_<020>モード多素子空胴を用いた並列運転発振器および電力増幅器の実験により, 高い合成率で出力を増大させ得ることを示した.
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