研究概要 |
本研究は, 超音波法によって得られたビーム方向の流れ成分から連続の式によって2次元血流速度分布を推定し, オイラーの方程式を利用して, 非侵〓的に心断層面内での動圧分布を計測・画像化するための手法を確立しよとするもので, 以下の研究計画によって実施した. 1.動圧分布の推定アルゴリズムを開発した. まず, 手持ちのカラードプラ装置を用いて計測したビーム方向の流速成分から連続の式を解くことにより方位各流速成分を求め, 2次元断層平面での血流速度ベクトルを算出する. 次に, これをオイラーの方程式に代入して動圧分布を計算する. これらの方程式は微分方程式であるので, 初期条件の与え方が難かしかったが, 連続した2つの画面を利用することにより決定する手法が有効であった. 2.実時間プロセッサの試作に成功した. カラードプラ装置のドプラ信号を取り出し, トランジェントメモリに収集しながら周波数分布を実施するために, 10MIPSの1チップDSPを応用してドプラ信号プロセッサを設計製作した. このボードは1枚ではなく多数仕様するマクチプロセッサ構成可能であるので, 実時間処理に適したプロセッサといえる. 3.画像化法を検討した. その結果, カラー表示による圧力分布と, 有向グラフ表示による血流速ベクトル分布の結合が, ヒューマンインターフェイス的にも優れていることが判明した. 4.モデル流路による計測結果は, 本手法の有用性を実証した. 5.健常者による計測結果は, 収縮期・拡張期ともに解剖学的に見て妥当な血流動態を示し, 圧分布も特に異常な結果は表示されなかった. 以上, 本手法の有効性が確認されたので, 今後, 臨床応用に向けて, マルチプはセッサシステムの完成に努力し, 他の侵襲的手法との比較実験により本法の定量化を期したい.
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