研究概要 |
ロボットアームの制御には, ロバスト安定性に優れ, しかも自律分散型のディジタル制御が望まれている. このような要求を満たす制御法として, 自律分散型のすべり動作サーボ機構が考えられるが, これまでのところ設計法としての理論的な考察はほとんどなく, 実験的に有望であると指摘されているに過ぎない. 本研究の目的は, 自律分散型すべり動作サーボ系の体系的な設計法を開発するとともに, その有効性を実験的に確認することであった. 研究の成果と残された問題点をまとめると, つぎのようになる. 1.すでに開発していたディジタル制御によるすべり動作制御法の外乱に対するロバスト安定性を検討し, ディジタル制御を用いても実用に耐え得るロバスト安定性を有することを確認した. 2.すべり動作サーボ機構について, 最近, 本研究とは独立に優れた設計法が提案されたので, 現在それに対するディジタル方式の適用可能性を検討中である. 3.自律分散型への展開は当初の見通し以上に難しく, 現在得られている設計法には適用のための制約が厳しすぎるなど, 改善すべき問題がいくつか残っており, 引続き研究を行なっていく予定である. 4.研究計画に挙げていた実機による設計法の確認は, 実験に利用を予定していたロボットアームの稼動準備が遅れたため, 研究期間内には着手できなかった. それゆえ, 来年度に実施する計画を立てている.
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