研究分担者 |
中山 隆弘 広島工業大学, 教授 (90087974)
秋山 孝正 京都大学, 工学部, 助手 (70159341)
白土 博通 京都大学, 工学部, 助手 (70150323)
松本 勝 京都大学, 工学部, 助教授 (00026270)
白石 成人 京都大学, 工学部, 教授 (40025903)
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研究概要 |
橋梁構造物中特に損傷が顕著である鉄筋コンクリート床版(RC床版)を対象として, ファジィ理論を用いた新たな疲労解析法を導いた. RC床版の余寿命予測のもととなる疲労解析には, 疲労実験や実荷重のモデル化におけるあいまいさ, S-N曲線や累積損傷則の適合性など, 様々な不確定性が存在している. この中でも特に, RC床版の疲労実験では供試体の大きさ, 載荷方法等に関わる多くの制約条件から実験データの数が限られ, これらの少ないデータからS-N曲線を精度よく推定することは容易ではない. さらに, 確率統計的手法を用いてS-N曲線をモデル化することも, 高々10個ぐらいのデータに対してはそれほど有効ではなく, また工学的な意義もあまりないと考えられる. そこで, 本研究では, データ数が非常に少ないという前提のもとで, 実験データに含まれる不確定性を考慮することを考えた. データ数が非常に少ないということから, 個々のデータはそれぞれ何らかの意味をもつと考え, 頻度の概念を用いた重み付けを行わずに, 各データから得られる情報を十分に反映できるS-N曲線のモデル化を考えた. 各データのばらつきを考慮するために, 可能性分布の概念を導入し, 疲労寿命をファジィ数として表現することにより, ある程度の広がりをもった形で予測することを試みた. このようにして得られた余寿命推定結果を維持管理業務に反映させ, より実際的な補修・補強計画に対する示唆を与えることができる. 研究結果として以下のことが得られた. (1)疲労解析には疲労の定義, 実験, S-N曲線の決定等に種々の不確定性が存在し, これらを解析結果にいかに反映さすかが重要である. (2)可能性分布の概念を用いてS-N曲線をモデル化することにより, 幅をもった形での回帰直線が得られる. (3)ファジィS-N曲線を用いることにより, 疲労寿命も広がりをもった形で規定することができる.
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