研究概要 |
計画降雨波形の決定問題に対し, 多変数Freund分布理論を応用し, いわゆる一山型降雨波形にとどまらず二山型等の多峰計画降雨波形の確率評価法について以下の成果を得た. 1)降雨群の生起確率評価: 100mm以上のまとまった降雨を対象とし, 降雨データを3時間程度で移動平均し, 極大値がいくつかある場合は, これを一つの極大値, すなわち1(山型)降雨に分割する. 分割前の降雨を1降雨群とぶ. この1降雨群の降雨数については負の二項分布が良く適合した. 2)降雨継続時間と降雨量の確率評価: 2変数Freund分布の周辺分布と1変数Gamma分布とは互いに変換が可能であることを明らかにし, この関係を用いて, それぞれの分布の長所を利用する. すなわち, まず, 1降雨の継続時間と降雨量の同時確率分布を2変数Freund分布で表現し, それぞれの周辺分布を得る. 得られた周辺分布を(1変数)Gamma分布変換し, さらにその"たたみ込み"により1降雨群の総継続時間, 総降雨量の周辺分布(たたみ込まれたGamma分布)を得る. これらの周辺分布を満足する2変数Freund分布のパラメータ同定を行い, 1降雨群についての二変数同時確率分布を得る. 3)降雨継続時間と降雨量の条件下における降雨波形の評価: 1降雨の継続時間と降雨量の同時確率分布は既に2変数Freund分布で定式化されている. したがって, 継続時間と降雨量が生起した下で, 既に筆者により得られている"条件付確率降雨波形"を用いれば, 1降雨のピーク時間雨量と時間分布が確率的に決まる. したがって, 1降雨群, すなわち多峰型降雨波形の確率評価が可能となる.
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