本研究では、鉄筋コンクリート造部材の曲げ靱性能を評価することを最終目的にして、そのため必要な長方形帯筋により拘束されたコンクリートの応力度ー歪関係のモデル化を試みた。内容・結論をまとめて以下に示す。 1.正方形帯筋により横拘束を受ける角柱の軸方向加力実験を行い、横拘束を受けるコアコンクリートの破壊頒域内の平均的な軸方向応力度ー軸方向歪関係を実験的に求め、正方形帯筋により横拘束を受けるコアコンクリートの破壊頒域内の平均的な軸方向応力度ー軸方向歪関係のモデルを提案し、実験よりその定数を推定した。 2.提案モデルを用いて高軸力を受けるシアスパン比2.0の既往の試験体の解析を行い、本モデルのかぶりコンクリートを変えるとその解析結果が大きく変化し、実験値はそのなかにばらつくことを示した。 3.角柱試験体の偏心軸方向圧縮実験を行い、本実験方法により各変位段階でのMーN相互作用が連続的に求められる可能性のあることを示した。すなわち、必要水平変位(靱性率)が与えられれば本実験法により、試験体1体で、限界(例えば最大荷重の80%耐力時)における軸力が評価できることになる。 4.提案モデルを用いて偏心軸方向加力実験及び高軸力を受ける柱の曲げせん断加力実験の柱脚部のモーメントー曲率関係を解析した結果、基礎部のカバーコンクリートへの拘束作用により、提案モデルでは過小評価してしまい、また、カバーコンクリートのモデルを多少変えた程度では実験結果は模擬できず、カバーコンクリートにも拘束コンクリートのモデルを用いる必要があることを示した。しかしながら、カバーコンクリートにも拘束コンクリートのモデルを用いると、さらに軸力が増したときには大きく過大評価してしまう危険があることも示した。
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