研究概要 |
溶接用高圧チヤンバーを用いて6MPa(60kg/cm^2海面下600m相当)までの高圧Ar雰囲気下で軟鋼のMIG溶接を行ないアーク電圧, 溶接電流, アーク現象および溶接金属形成なとにおよぼす雰囲気圧の影響を研究した. 高圧雰囲気下でのMIG溶接では雰囲気圧力の上昇と共にアークの発生位置が電極線先端部へと移行する. その状況を撮影し模式的に示したものが図1である. アーク長は圧力と共に短くなる. 溶接電流も減ずる. 6MPaで得られた溶接金属は幅の狭い溶け込みも浅いものとなり健全な溶接部とはならない. 種々の予備実験の結果, アーク長を一定に保つことが高圧下の溶接では重要な因子であることがわかった. アーク長を一定とし圧力を変化させた時のアークの状況を図2に示す. 高圧になるにつれアークは乱れるが輝度は増している. アーク電圧は圧力と共に上昇するが溶接電流は余り変化しない. また大量のヒュームやスパッターが発生した. この条件で作られた溶接金属は図3に示す. 圧力が高くなっても大気圧中(0MPa)で得られたものとほぼ同様の形状であった. 今回得られた成果として垂下特性電源を用いたアーク長制御方式のMIG溶接法は応用範囲も広く有望であろうと思う.
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