研究概要 |
本研究は, 平均粒子サイズが0.7〜7nmの範囲で粒子サイズが揃った白金およびパラジウムの超微粒子を作成すると共に, この超微粒子の触媒特性を, 粒子サイズをパラメーターとして把握する事を目的としており, 下記の如く, ほぼ目標を達成する事が出来た. 1.平均粒子サイズが1〜10nmの白金, パラジウム, 鉄, 金超微粒子を, グラシーカーボンや金属上に作成し, 透過型電子顕微鏡にて評価した. 金属を真空蒸着する場合の蒸着量と基板温度を粒子サイズ制御因子としたところ粒子サイズの標準偏差は, 目標値の70%であった. 2.サ ズ分布向上の為, 上記超微粒子を, 超音波照射によりアセトン, メタノール, 水中に分散させ, 超遠心分離により分別を試みたが, 十分な成果を得るに到らなかった. 3.金属超微粒子の触媒特性を種々調べ以下の如く粒子サイズ効果を明確にする事に成功した. (1), グラシーカーボン(以下GC)上の白金超微粒子の水素電極反応の比活性は, 粒子サイズが小さいほど大である. 粒子が小さいほど弱く吸着する水素の割合が増加する. (2), GC上のパラジウム超微粒子は, 粒子が小さいほど, 金属原子当りの水素吸蔵量が減少し, 水素の吸収速度が大となり, 且つ水素電極反応の比活性は大となる. (3), GC上の金超微粒子のホルムアルビヒド酸化の比活性は, 特定の粒径(約4nm)で極大値をとる. 白金板上に作成した金超微粒子は白金のギ酸酸化活性を著しく向上させる. (4), 金板上に作成した白金超微粒子は, 金による強い担体効果のため, メタノール酸化活性は低下するがギ酸酸化活性は, GC上のものより大となる. (5), 酸化プラセオジ上に作成した白金微粒子は, 一酸化炭素の気相酸化活性を高める. (6), GC上の銀超微粒子の, アルカリ水溶液中での酸化還元挙動は, 粒子サイズが小さいほど可逆性が優れている. (7), 白金板上に作成した金微粒子への一酸化炭素吸着挙動をUPSにより明確にした.
|