研究概要 |
1.担体に結合可能な不斉識別能の高い化合物として, R(+)-1,1´-ビー2-ナフトールを原料とし, モノブロム酢酸との反応により, 殆んど定量的に, R-(+)-2,2´-(1,1´-ビナフタレンー2,2´-ジイルジオキシ)ビス酢酸(1)を合成した. つぎに2-メチルナフタレンを原料として, 数段階で1,1´-ビナフタレンー2,2´-ジカルボン酸(2)を効率よく合成する方法を見出し, 更に光学活性フェニルエチルアミンとのモノアミド誘導体として, 再結晶法によりほとんど定量的に光学活性なR-(+)-1,1´-ビナフタレンー2,2´-ジカルボン酸(3)を得る方法を開発した. またR,R-テトラフェニルー18-クラウンー6をアセトニトリル中, トリフルオロ酢酸タリウム(III)-ヨード化後, グリニヤー試薬-炭酸化法により, R,R-テトラフェニルー18-クラウンー6モノカルボン酸(4)を合成することに成功した. 2.これら官能基をもつ不斉化合物をEEDQ存在下に, 11-アミノウンデシル化シリカゲル担体に結合させ, 更にアミド化処理した後, スラリー法によりステンレスカラムに充填し, 高速液体クロマトグラフィーにより種々のラセミ体についての不斉識別能を検討した. (3)を担持したカラムは, 特に軸不斉化合物, 例えばビナフトール, ビナフタレンジカルボン酸ジアミドなどを効率よく分離し, 分離度αは最高で1.38を示した. またアミノ酸アミン, アルコールなどの誘導体も充分分離することが可能で, 広い範囲の光学異性体の分離に用いることができることがわかった. 3.上述の不斉化合物を高分子化合物に結合させ, 膜状に成形して光学異性体を分離する方法については, 現在検討中である.
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