研究課題/領域番号 |
62550630
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒沢 英夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (40029343)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | オレフィン錯体 / 錯体触媒反応 / 還元的脱離 / 金属錯体触媒反応 |
研究概要 |
本研究の目的は、金属オレフィン錯体を経由する触媒反応の機構論的研究を展開し、いくつかの触媒反応における高選択性発現の原理を、分子科学のレベルで解明することである。本研究で得られた成果は、二種類の選択性発現原理の確立に分けられる。1)オレフィン錯体中間体の生成過程で制御されるπーアリル金属種の環元的カップリングの選択性ーπーアリル金属錯体の環元的脱離および環元的求核置換により、アリル基からオレフィンへの変換が起こり、πーオレフィン金属中間体錯体が生成する。この中間体錯体の生成の選択性を決める要因として、金属種(M=Ni>Pd》Pt)および配位子(オレフィン》PR_2CH_2CH_2PR_2>PR_3)の影響が大きいことが判明した。ただし環元的求核置換においては、白金錯体とパラジウム錯体の反応性の差はそんなに大きくはなかった。この結果を利用して、従来はパラジウム触媒に限られていた、選択的アリルのアルキル化を、白金触媒でも実行可能なことが見出された。2)オレフィンー金属結合の結合性格に制御されるオレフィン錯体変換反応の選択性ーπーアリル(オレフィン)錯体の還元的脱離は、オレフィンが電子吸引性であるほど、より容易に進行することが判明した。この原理を応用して、光学活性なビニルスルホキシドパラジウム触媒による、効率の良い不斉アリル基のアルキル化を達成することが可能になった。つぎに配位オレフィンを親電子的に活性化できる、カチオン性のπーアリル(オレフィン)白金錯体を用いて、オレフィンの異性化反応の触媒活性種である、ヒドリド白金の生成を確認することができた。以上の新しい事実は、従来より知られている触媒的ジエンオリゴメリ化やアリルカップリング、オレフィン異性化などにおける、さらに高度な選択性発現の分子設計に有用であると思われる。
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