研究概要 |
1.ビニルエーテル類と無水トリフルオロ酢酸との反応により、各種のβートリフルオロアセチルビニルエーテル類を合成した。 2.α置換ビニルエーテル類やケテンアセタール類は非常に不安定なため、上法で相当するβートリフルオロアセチル体を合成し難い。そこでメチルケトン類のアセタールおよびオルト酢酸エステルを直接無水トリフルオロ酢酸と反応させることを試み、収率よく相当するトリフルオロアセチル体を得た。 3.上記の1および2で合成したトリフルオロアセチル体をシリカゲル触媒存在下で各種のアリルアルコール類と反応させたところ、温和な条件下で収率よくオレフィン炭素上での求核的エーテル交換反応がおこり、βートリフルオロアセチルビニルアリルエーテル類をうることができた。このものをシリカゲル存在下でさらに加熱すると容易にクライゼン転位をおこし、収率よく3ーアリルー1,1,1ートリフルオロアセチルアセトンがえられた。これはヒドラジン類などの2官能性試薬との反応によりアリル基とトリフルオロメチル基を有するピラゾールなど、各種の他法では合成し難し含フッ素ヘテロ環化合物に効率よく変換できることがわかった。 4.オレフィン炭素上での求核的N-N交換反応の延長として芳香族炭素上でのNーN交換反応を試みた。例えばN,N-ジメチルー2,4ービストリフルオロアセチルナフチルアミンのジメチルアミノ基は室温で極めて容易に各種のアミン類と交換されることを見出した。アミンとして各種アミノ酸も用いられ、例えばグリシンを用いるアミノ交換の後に環化がおこり含フッ素ベンツインドール類が容易にえられる。またアミンとしてヒドラジン類やヒドロキシルアミンを用いると含フッ素ナフトピラゾール類、含フッ素ナフトイソオキサゾール類へ変換できた。これら含フッ素ヘテロ環化合物の生理活性については現在検索中である。
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