研究課題/領域番号 |
62550661
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子合成
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
横井 弘 静岡大学, 工学部, 教授 (30006308)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1987年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 水溶性高分子 / 金属水酸化物 / 高分子錯体 / 還元 / 触媒 / 機能性材料 |
研究概要 |
水溶性高分子のポリビニルアルコール(PVA)は種々の重金属イオンを金属水酸化物として包接的に取り込み、この形でのPVA-金属錯体を形成することが明らかになってきた。一方、触媒機能をもつ金属錯体形態は、金属が低原子価であることが好ましい。そこで、本研究では、上記のPVA-金属錯体を出発原料として、それを還元することで触媒機能をもつ新しい型の高分子金属錯体を合成することを目的にする。研究内容は大きく三つに分けられる。第一は、PVA-Cu(II)錯体の化学的還元であり、還元剤としてはヒドラジンが最適であった。こゝでは、Cuに対するヒドラジンの添加量の比を変えることによって、Cu_2O微結晶を含む褐色の安定コロイドとCu微結晶を含む灰黒色の安定コロイドが調製でき、微結晶の粒径は各々約200と300〓であった。第二は、PVA-Fe(III)錯体のキャラクタリゼーションであり、この種高分子金属錯体研究の中での最重要のものとして力を注いだ。その結果、構造またはPVAとFe(III)イオンの相互作用様式に関しては、基本的には、PVA-Cu(II)錯体と同一であり、Fe(III)イオンは高々20〓径の大きさの水酸化鉄(III)Fe(OH)_3クラスターとしてPVAに包接的に取り込まれるが、包接状態はCu(II)錯体程完全ではないことが判明した。第三は、このPVA-Fe(III)錯体粉末が、意外にも、200℃という低温で触媒的に熱分解することを見出したので、これに関するものである。空気中での反応初期では、PVAのOH基からの脱水反応が激しくおき、次いで、酸素を利用した脱水生成物の酸化的発熱反応がおき、COとCO_2を発生する。両反応とも触媒的に進行し、反応過程でFe(III)イオンの一部が還元され、それを含むマグネタイト様鉄酸化物の一種が触媒となって周囲のPVA分子を容易に分解する。この反応は種々の応用性を秘めており、本研究の主旨に沿った興味深い結果が得られたことになった。
|