研究概要 |
1.多孔性セラミック薄膜触媒の作製 細孔径役1μのα-アルミナからなる多孔質管(肉厚1mm, 管外径1cm, 長さ約3cm)にガラス管を接続した後, 多孔質管の外表面近傍に, 約10μのアルミナゲル膜を担持させた. これをケイ酸ソーダ水溶液で処理(約95〜100°C)し, 十分水洗等を行なうことによって約10〓以下の孔径を持つ多孔性セラミック薄膜触媒管(有効長さ約2cm)を作製した. 2.測定法 従来の粒状触媒を用いる反応操作とは異なり, 上述の触媒管の内側に所定の濃度のイソープロピルアルコール蒸気(IPA)を同伴するヘリウムガスを加圧状態(約3.5気圧)で圧入し, 薄膜触媒層を透過させることによって脱水反応をおこさせた. 反応温度を225〜350°Cの間の5点に設定して, IPA濃度および膜内外間の差圧を変えて測定を行った. また, 同一の多孔性セラミック触媒薄膜を通しのHe, H_2, N_2, C_3H_6の透過係数を室温から350°Cまでの温度範囲で測定した. 3.結果 先ず, 上述の純ガスの透過係数の測定結果は, 非吸着性ガスと考えられるHeを基準としたクヌーセン拡散の透過係数の推算値よりもかなり大きく, その差は温度が低くなると大きくなる傾向が得られた. これは, 細孔表面と透過気体間の相互作用(例えば吸着による表面拡散)によるものと思われる. この種の触媒膜によるIPAの脱水反応は上記温度範囲において殆ど1次反応と近似できた. 325°C以上の温度においては約90mol/m^2/hrのIPA供給量においても完全に反応し, 未反応IPAは透過ガス流中には検出されなかった. 300°Cにおいては55mol/m^2/hr以下のIPA供給量において, 同様に転化率が1であった. 触媒薄膜の活性をより高くすれば, 実用的反応器としての応用が可能となろう.
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