研究概要 |
近年LSI製造プロセスにおいて高品位の集積回路を作成する目的から, クリーンルーム中でのウエハ上の微小粒子の沈着を防止するための信頼のできる技術の確立が強く望まれている. たとえばLSIを構成するウエハー表面上では誘電体と金属との接触部が数多く存在し, 0.1μm程度の粒子でも金属部へ沈着すると不良品な作る主原因となる. したがって, 異種物質から構成された表面へのエアロゾル粒子の沈着量とその分布及び沈着機構の解明が重要である. しかしながら粒子沈着に及ぼす壁面材質の影響については, 従来よりほとんど検討されていなかった. 本研究では異種物質として金属(銅)と誘電体(ポリエチレン)から構成された表面に, エアロゾル粒子がどの場所にどの程度沈着するかを実験的に調べると共に, 数値解析による検討も行なった. 実験において, 粒子径が0.17μm, 0.33μm, 0.62μmの単分散球形ラテックス粒子を使用した. 得られた主要な結論を以下に示す. 帯電粒子は金属と誘電体の接触により自然に生じる局所電界の影響を受け, 銅とポリエチレンから構成された表面に対してはポリエチレンが負に帯電するため, 正に帯電した粒子は誘電体部に多く沈着した. 正に帯電した粒子が誘電体部で多く沈着するのは粒子と電界との相互作用によるクーロンが原因であり, 粒径が小さい程沈着量も増加した. 負に帯電した粒子は誘電体部が負に帯電しているためにほとんど沈着しないが, 界面近傍の銅板部において粒子沈着量が多くなる. これは界面近傍の電界ベクトルが局部的に主流方向を向くためである. なお粒子沈着量の推算に際し, 電荷が誘導体内部へも侵入すると仮定したが, 電荷侵入がないとした場合よりも, より精度よく実験値を説明することができた.
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