研究概要 |
スイートクローバ育種で種間交雑が重要な役割を持つが、交雑に困難性を伴う場合が多い。この問題を染色体工学的に解決する基礎資料を得ることが本研究の目的である。2ヶ年で得られた成果は以下のごとく要約出来る。1.核型分析。ギムザ染色によりEumelilotus亜属9種とMicromelilotus亜属10種の体細胞中期染色体の核型を再検討した。大きさにより19種をTypeA:Eumelilotus亜属9種、Type-B:Micromelilotus亜属からM.italicaを除いた9種、Type-C:M.itakicaの3typeに分類出来た。大きさはTypeC>TypeA>TypeBで。KITA(1966)の報告に大筋で一致する。さらに附随体染色体の形態が全種にわたり明らかになり、種間に存在する相互転座(R.T)及び逆位との関連について興味がもたれる。 2.種間雑種の細胞遺伝学的研究。Eumelilotus亜属のうちM.altissimaを除く8種間で種間雑種F_1でのR.T.の存不在により、8種を次の3群に分けた。A群(M.alba)、B群(M.hirsuta,M.officinalis,M.polonica,M.suauealens)、C群(M.dentata.M.taurica,M.aolzica)である。A+B間に1R.T.がA-C間に1R.T.が存在するが、B-C間は葉緑素欠乏によるF_1枯死により細胞学的関係が検討出来ず、上記2R.T.が同一起源か否か不明である。この点を明らかにするため、まずA-B間の交雑を行い、そのF_1にCを花粉親として交雑した三系交雑F_1を得た。このF_1の細胞遺伝学的検討結果から2R.T.は同一起源であると結論できた。また上記一連の交雑実験で、M.afficinalisとM.albaの種間交雑で従来知られていたM.afficinalis PI.178985の他にBdn.62-13、P197-1P,P198-1,P200-1,P200-2もM.Albaと胚培養なしにF_1を作製し得ることを明らかにし、育種上遺伝子交換の橋渡しを系統として役立つことを示唆した。 3.組織培養。Eumeliletus9種51系統とMieromelilotus3種17系統の組織培養を2年継続して行い、カルス誘導増殖及び再分化に関し種間と系統間差異を明らかにし、細胞融合の基礎資料を提供した。
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