研究概要 |
1.研究目的 油料作物のヒマには〓果上に刺のあるものと無いものとがあり, 一般に有刺種は無刺種に比較して含油量がやや多いことが筆者らの調査で明らかになった. この場合〓果上の刺がこれに関与している可能性があるため, 刺の先端部に形成される瓜状の組織の吸収波長を調査した結果400nmの波長を吸収していることが明らかとなった. ヒマの油脂生成は光の強度に著しく影響を受け易いため, この組織と油脂生成との関係を明らかにしようとした. 2.実験材料および方法 ヒマ(中国系統小粒種)を本学実験圃場の播種し, 花房の開花後20日目よりこの刺を根元より切除して成熟させた. さらにこの切除した花房に寒冷紗を被覆して遮光した区も設けた. 一方無処理の対照区も設置してこれと比較した. 3.結果および考察 ヒマ種子の100粒重は対照区が26.15gに対し, 刺切除露光区は25.48g, 刺切除被覆区は25.02gさらに無切除被覆区は25.23gで物質生産が抑制されたことが明らかとなった. しかもこれには5%水準で有意差が認められた. 次に油脂の含油量についてみると, 対照区が70.85%(種皮は含まず)に対し, 刺切除露光区が69.20%, 刺切除被覆区69.05%で無切除被覆区は66.13%を示した. この4処理区を比較すると, 刺の有無により油脂の生成に差があることが明らかとなり, この場合も5%水準で有意差が認められた. 油脂中の遊離脂肪酸含量を示す酸価を調査した結果, 対照区が1.00に対し刺切除露光区1.22, 刺切除被覆区は1.27, 無切除被覆区は1.49で酸価に関しては有意差が認められなかった. 今後は〓壁の解剖学的研究を推進する予定である.
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