研究概要 |
1.日本自生ユリ15種に古く日本に渡来し、半ば自生化している3種を加えた18種について花芽分化時期を調査した結果、次の4つのタイプに分類された。 (1)秋に球根内で分化を開始し、年内に完成する(1ーa型)ーオトメユリ、エゾスカシユリ、(2)秋に球根内で分化を開始し、発芽直後に完成する(1ーb型)ーイワトユリ(佐渡が島自生)、タケシマユリ、ササユリ、朝鮮ヒメユリ、(3)発芽直後に花芽分化を開始する(2ーa型)ーテッポウユリ、ウケユリ、タモトユリ、ヤマユリ、サクユリ、コオニユリ、スゲユリ、カノコユリ、クルマユリ、ハカタユリ、イワトユリ(三宅島自生)、土佐ヒメユリ、(4)発芽後、1カ月以上経過してから花芽分化を開始する(2ーb型)ーオニユリ、キカノコユリ 2.現在世界的に最も重要なユリとなっているスカシユリ系交雑品種は日本自生のエゾスカシユリ、イワトユリ(イワユリ)、オニユリなどを基にして育成されたが、84品種を供試して、花芽分化時期を調査した結果、日本自生ユリと同様4つのタイプに分類され、1ーa型1品種、1ーb型26品種、2ーa型16品種、2ーb型41品種で現在切り花に用いられているスカシユリ系交雑品種の1/3は球内分化型であることが明らかになった。球内分化型品種(1ーa,1ーb型)は発芽後分化型品種(2ーa,2ーb型)より開花期が早かったが、花芽分化時期の早晩と茎軸の伸長との間に一定の関係は認められなかった。しかし、北海道で生産された球根の休眠は浅く、茎軸の伸長開始が早かった。凍結貯蔵は予冷を1℃で4週間行っても、1ーa型の明千鳥は開花率が低く、1ーa型の品種は凍結貯蔵に適していないことが明らかとなった。
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