研究概要 |
クライマクテリック型果実であるキウイフルーツを用いて追熟過程におけるエチレン生成とその機構を調べた. セイヨウカボチャは無傷個体果実ではエチレン生成はほとんどみられないが, 傷害により顕著なエチレン生成が起きる. セイヨウカボチャ果肉切片を用いて傷害誘導エチレン生成とその機構及び制御機構について研究した. 花の老化とエチレンの研究材料として, カーネーションの花を用いて, 老化(萎凋)に伴い生成されるエチレンの生合成経路, 生成機構, 及びエチレンの花の萎凋に及ぼす生理作用について研究を行った. 以下に結果を要約する. 1.収穫後のキウイフルーツは0.1Mlkg^<-1>h^<-1>の限界値を越えた後, エチレン生成は急激に増大した. エチレン生合成の前駆物質である1-アミノシクロプロパンー1-カルボン酸(ACC)含量はエチレン生成の増大と共に増加した. エチレン生成酵素(EFE)の活性は果実のエチレン生成と共に増加した. キウイフルーツのエチレン生合成経路はメチオニンーACC経路によることが明らかとなった. 生成したエチレンはキウイフルーツの追熟に重要な役割をしていることが考察された. 2.セイヨウカボチャ果実組織は傷害により顕著なエチレン生成を起こす. 果肉組織に傷害を与えると2時間の誘導期の後, ACC合成酵素の活性が急激に増大し, それに続いてACCの生成が著しく増大し, エチレン生成が顕著になった. 傷害によりEFEの活性も増加した. 障害によるACC合成酵素の誘導が傷害エチレン生成過程で最も重要な機構と判明した. 3.カーネーションの切り花は収穫後約一週間して萎凋する. 花弁がしおれる際, 花弁で多量のエチレンが生成される. 花弁に先行して雌ずいでエチレンが生成された. いずれの組織もACC合成酵素の誘導, ACCの生成が重要であることが明らかであった.
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