研究課題/領域番号 |
62560048
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物保護
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
上宮 健吉 久留米大学, 医学部, 講師 (40080965)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1987年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | ヨシノメバエ属 / 種分化 / 交尾信号 / 多変量解析 / 地理的隔離 / シブリング種 / オシログラム / 周波数スペクトル / 配偶行動 / 交尾音 / 音響特性 / リリーサー / 地理的固有性 / 配偶者認知システム / モデル信号 / 隔離 / 姉妹種 |
研究概要 |
世界のヨシノメバエ属の種分化、系統発生、配偶者認知システムに係わる雄の交尾信号と雌の受諾信号を日本産とヨーロッパ諸国、ソ連邦産について音響学的、行動学的に追求した。採録した音響データは既知種8種、未記載種3種の総計611個体、86地域集団、5万個余りの信号数に達した。さらに、本属に近縁の属の交尾信号を波形パターンの原始性の決定に比較検討した。交尾信号の音響学的特性をオシログラムや周波数スペクトルから測定し、異種間、異地域同種間について、多変量解析の諸法によって有意性の検定や非類似度、群別化を行った。同種の異地域集団では、信号の物理的性質が様々の程度で遺伝的に固有化し、これが過去のヨシ湿原の地理的連続性がもたらすジーンプールの共有性の程度や、湿原の歴史性やヨシノメバエの侵入の起源に由来する場合と、隔離の成立の古さによって、近接集団と類似性のないランダムな特性として固定化している場合とが認められた。ヨーロッパの種類の中には、信号の時間軸特性が地理的隔離の程度が大きいほど、特異性が顕著であり(例えばブルガリア、ラトビア、イギリス産)、一方、地史的に連続性の新しい東ドイツ、チェコ、ハンガリー間には有意な差は認められなかった。このことは、孤立した遺伝子集団において、信号発生に係わる遺伝子系の変異の累積的蓄積に起因すると思われた。国内の1種では、中国大陸要素と考えられる集団が対馬、北九州、吉野川産に認められた。本州や北海道産では多群の正判別率が九州産よりも12.7%高く、地理的障壁の豊富なことを示した。多変量解析によるとrufitarsisはヨーロッパ産と日本産で明瞭に異なる数値が得られ、妊性交雑によっても別種であった。また、この群に東北・北海道に分布する種と、長野県に分布する2新種の存在が信号特性から判明した。音響特性や雌の反応性、交尾成功率、妊性からソ連産の1種がシブリング種として確立された。
|