研究概要 |
ニトロゲナーゼは窒素固定を行う酵素であり、Component IとComponent IIとからなる。Component IIはComponent Iを還元するreductaseというべきもので、Component Iが中心的役割をはたしている。Component IはMo-Fe蛋白で種々の反応を触媒する。N、CNの還元はもとより、アセチレン(C_2H_2)、さらに基質が存在しないときには、H^+を還元し、H_2を発生する。このような種々の機能を持った蛋白のペプチド構造を変化させたとき、機能がどのように変化するかといううことを目的として、まずすでに取得したA,vinelandiiのComponent I(Mo-Fe蛋白)の変異(W-Fe蛋白)のペプチド部分をコードしているDNA領域(1,4Kb)をクローニングし、現在sequencingを行い、塩素配列を決定中である。決定した塩基配列を野生型のComponent Iの塩基配列と比較することで、ペプチドの一次構造のどこに変化がおこったためにMoのかわりにWを金属として要求するようになったかが明らかになると思われる。また、われわれはすでにComponent Iに対するmonloclonal抗体を数種取得しており、それらのうちのあるものはアセチレン還元活性を選択的に阻害しており、抗体の結合部位の差異が基質に特異的な反応阻害のパターンを作りだしていると考えられる。そこでこれらの抗体の抗原決定部位をComponent I分子上で同定することで種々の反応の活性中心等に関する知見が得られるものと期待される。そのため野生型A,vinelandiiのComponent Iのペプチド部分をコードするDNA領域を断片化してexpression vector に組み込み、抗体を反応させて抗原決定部位の塩基配列を持つクローンのDNAをsequencingしたところ、アセチレン還元を阻害する抗体、H^+還元を阻害する抗体、両活性をともに阻害する抗体の3種の抗原決定部位が異なることを確認した。
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