研究概要 |
アミノペプチダーゼいは生物界に広く分布していることが知られている。第一のファミリーはアミノペプチダーゼ(サイトソール)(EC3.4、11.1)で、第二はアミノペプチダーゼ(ミクロソーマル)(EC3、4、11、12)である。しかし、消化管の酸素を除いて、生命現象に対する役割、機能はよくわからないのが現状である。本研究は、貯蔵タンパク質の分解の初期反応をエキソペプチダーゼが引き金を引くのではないかという仮説のもとに卵黄について検討したところ、鶏卵卵黄に極めて微弱だがアミノペプチダーゼ活性を見出したことにより研究が開発された。 アミノペプチダーゼ活性は、鋭敏な基質である蛍光性の4-メチルクマリン-ク-アミド(MCA)基質あるいは発色性のパラニトロアニリド(pNA)基質に作用したほか、エレドイシン関連ペプチドの分解からも確認した。 鶏卵卵黄中のアミノペプチダーゼ活性の分布はプラズマ画分に約95%、グラニュール画分に残りが存在した。プラズマ画分の酸素はブラズマより約13,000倍に、卵黄り約85,000倍に精製し、電気泳動的に均一の標品を得た。グラニュール画分からは食塩抽出後部分精製した。両画分の酵素は、最適pH、Km、分子量、熱安定性に差がみられた。最適pHは前者が6.5、後者が7.8Kmは前者が0.01mM、後者が0.8mM、分子量は前者が360,000で後者が700,000で熱安定性は前者が70℃10分処理で完全に失活するのに対し後者は残存活性40%であった。両画分の酵素の基質特異性ならびに各種阻害剤に対する失活の状態は類似していた。プラズマ画分の酵素をキレイト試薬で処理した後、コバルトを加えると約215%と強く活性化された。この性質は酵母アミノペプチダーゼCoに類似していた。発生の段階で活性の変動が見られることから、本酵素は貯蔵タンパク質の分解に寄与する酵素であると推論された。
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