| 研究概要 |
1.クロロゲン酸の生合性に関する研究; サツマイモが病傷害を受けるとクロロゲン酸が多量蓄積する。我々はこの系を用い、p-ハイドロキシ桂皮酸-D-ブドウ糖中間体とするクロロゲン酸の生合成経路を提供してきている。この生合成経路を確証するため実験を行い、次の成果を得た。(1)トレ-サ-実験:t-桂皮酸以降の2番目の中間体であるp-クマ-ル酸-Dーブドウ糖をサツマイモより分離証明した。更に、t-桂皮酸-3-^<14>Cを用いトレ-サ-実験を行い、本物質がクロロゲン酸生合成の中間体の挙動をすることを示した。(2)酵素学的研究: 上記中間体p-クマ-ル酸-D-ブドウ糖を次の中間体であるコ-ヒ-酸-ブドウ糖に水酸化する酵素をサツマイモ中に見いだし電気泳動的に均一にまで精製し、その性質を明らかにした。また、リグニンやフラボノイド等のフェニ-ルプロパノイド生合成経路中のp-クマ-ル酸をコ-ヒ-酸に水酸化する酵素をもやし豆実生に発現し、その性質も明らかにした。本酵素は古くからその存在が推定され、種々の植物を用いて検索されてきたにもかかわらず見いだされていなかった。また、この過程で、Fe^<2+>とキレ-トの存在下でp-クマ-ル酸がコ-ヒ-酸に効率よく非酵素的に水酸化されることも見いだした。2.サトイモのフィトアレキシンに関する研究; 黒斑病菌感染サトイモより抗菌活性をもつ物質を単離し、9,12,13,trihydroxy-(E)-O-octadecenoicと同定した。更に、本物質の生成に関る酵素系の活性が感染により増大することを示した。3.根頭癌腫病に関する研究ニンジンにゴ-ルを形成する際のTi-プラスミドの移行に関与すると想定される菌の外膜タンパク質を同定した。
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