研究概要 |
酢酸菌は組換えDNAの研究に有用な6塩基のパリンドロームを認識切断する多数の制限酵素を産生する. Acetobacter pasteurianus IFO13753の産生するII型制限酵素ApalIを本菌の無細胞抽出液よりストレプトマイシン処理, 硫安分画, ヘパリンーセファロースCL-6BおよびDEAE-セフアロースCL-6Bの各クロマトグラフィーおよびMonoQHR5/5を用いる高速液体クロマトグラフィーで, ポリアクリルアミド電気泳動的に単一にまで精製した. 精製酵素は入力NAを4か所で切断し, 24時間の酵素反応でも, その切断パターンに変化は見られなかった. 本酵素反応の至適条件は, 45°C, PH8.0, 7mMMgC1_2, 20mMNaClであった. しかし, NaClは0mMでも本酵素反応は充分に進行した. 本酵素の分子量はゲル濾過的に26,000, 等電点はアンホライン等電点電気泳動で4・8, クロマトフォーカシングで4.7であった. 本酵素の5分間のプレインキュベーションによる温度安定性では45°Cまで極めて安定であった. 本酵素のPH安定性は5.0〜8.0の間にあった. 本酵素はλ, Ad2, SV40, M13mp18RF, YbdintgX174RF, pBR322の各DNAを, それぞれ, 4, >6, 0, 1, 1, 3か所で切断した. YbdintgX-174RFDNAを本酵素で切断1, 5′末端を^<32>Pでラベルした後, Maxam-Gil-bert法で末端付近の塩基配列を決定した. その結果, 本酵素はDNAの塩基配列, 5′-GTGCAC-3′を特異的に認識し, そのGとTの間で切断する全く新しいII型制限酵素であることが解った. 本研究は他に, Acetobacter pasteurianus IFO13752のApa ORI, Gluconobacter cerinus IFO3260のGce inI, Gluconobacter cerinus IFO3285のGceGLIの各II型制限酵素を電気泳動的に単一にまで精製し, それらのDNA上における認識塩基配列およびその切断部位を決定した.
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