研究課題/領域番号 |
62560211
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮澤 啓輔 (宮沢 啓輔) 広島大学, 生物生産学部, 教授 (20034457)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1987年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | フグ毒 / tetrodotoxin / 扁形動物 / 紐動物 / 棘皮動物 / 紐形動物 / テトロドトキシン / 部位別毒生 |
研究概要 |
瀬戸内海産下等底生動物におけるフグ毒(tetrodotoxin、TTXと略記)の分布起源、蓄積機構を解明する目的で、実験を行ない、以下の諸結果を得た。 すでに他地域と同様、TTXの保有を確認した棘皮動物トゲモミジガイ(Astropecten polyacanthus)の毒性調査の結果、季節変動では生殖期に高毒性を示すこと、体内分布では卵巣の毒性が著しく高い(最高12700MU^^ー/g)こと等を認めた。また筆者らがすでにTTXによる毒化を確認している扁形動物オオツノヒラムシ(Planocera multitentaculata)では、成熟卵を含む輸卵管の毒性が高く、消化管がこれに次ぐことを認めた。さらにオオツノヒラムシの産出卵の毒性は極めて高く、最高10700MU^^ー/gに達し、親のwhole bodyの毒性の数10倍を示した。またトゲモミジガイでは卵巣の毒性が高いため、whole bodyの平均毒性で、雌は雄の約2.5倍を示した。このように卵巣あるいは卵の毒性が高いことは、フグやカリフォルニアイモリと同様、TTXが生体防御物質として存在する可能性を示唆した。 次にオオツノヒラムシ消化管から、かなり強力なTTX産生能をもつ細菌、Vibrio sp.を分離し、これがヒラムシのTTXの起源である可能性を示した。 また扁形動物と近縁の紐形物動のミドリヒモムシ(Lineus fusroviridis)、クリゲヒモムシ(Tubulanus punctatus)等ヒモムシ類にTTXとその関連物質の存在を初めて確認し、TTXの分布を紐形動物に拡大した。またヒモムシ類の部位別TTX含量を調べた結果、吻が最も高濃度であることを認めた。吻に高濃度のTTXを持つことは、TTXを餌動物の捕獲、敵からの防御の手段として使っている可能性がある。 この外、環形動物のウロコムシ(Lepidonotus sp.)や腔腸動物のイソギンチャク(Actirua sp.)等にも初めてTTXを検出した。
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