本研究の目的は、昭和38年から58年の県別の土地資本額を推計し、そのデータを用いて土地資本と農業生産の関係を分析することにある。過去にいくつかの土地資本ストックの推計値が存在するが、農業生産の分析にそれらが用いられたことはない。なぜならば、そこで用いられている推計方法におる仮定が適当でないために良好な推計値が得られていないからであり、特に耐用年数が余りにも短い。そこで本推計では、耐用年数の長さに影響されない物量評価法を用いている。 本推計の主な結果は次の通りである。 1.昭和58年の土地資本額の全国合計値は、60年価格で評価して93兆円であった。 2.その値は昭和38年から58年の間に年平均約0.2%で増加している。 3.土地資本の県間格差は上昇している。 次に土地改良の経済効果を分析するために、土地資本と農業生産の関係を推計データを用いて考察した。以下がその主要な結果である。 1.土地資本と耕種生産の間の相関係数は高い。 2.土地資本の蓄積により米単収は高められた。 3.土地資本は畑の耕地利用率を上昇させる。
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