研究概要 |
圃場整備や混住化の進む農村での下水処理で, パイプを埋設する度土工が増加しているが, 東北各地で泥炭, 黒ボクなど有機質土が問題になっている. ところが農業用パイプラインや下水処理用のものは, 本来, 石油輸送などで開発された外国のものに比べて, かなり小口径のため, こうした小さいものについては, 殆ど我が国の研究のみで諸外国の事例や研究は参考にならない. さらに黒ボクは第四紀火山活動の地域でしかもアジアモンスーン地帯のような多雨条件が必要で, 殆ど我が国と一部の外国のみの特殊土壌である. そして東北のものは関東や九州とは異なり, 陽イオン交換容量CECは低い. また東北の泥炭は, カナダ, 北欧, 北海道などの高位泥炭とは異なり, ヨシを主体とした東南アジア型の低位泥炭である. しかも分解度が高く, 中には黒泥化の進んでいるものが多い. 著者らは, これまで三軸室の水中で測方変位を非接触で測る方法を開発してきたが, これらをパソコンによる自動計測化に成功し, 剪断挙動で一番問題になるK_O圧密状態での剪断特性を明らかにした. 現場条件はK_O状態にも拘らず三軸試験は等方状態で行うことについての問題は古くから指摘されてきていたが, 測方変位をコントロールしなければならないK_O状態の実現が困難であったため研究が進まなかったものと考えられる. K_O圧密状態と等方圧密状態での両者の剪断特性のちがいは, 月山黒ボクに例をとれば, K_O圧密の方が, 小さいひずみで八面体剪断応力が最大になっているが, 鉱質土では逆になっている. また強度増加率は側圧条件にもよるが鉱質土が1.0〜1.2になるのに対し, K_O圧密ハ0.6程度となっている. K_O圧密の強度増加率が等方圧密の6割程度ということは, パイプ埋設や道路などの農地土工の施工や設計に大きな影強を持つものであり, 今後, さらに現場実験などで検討すべき問題点を含んでいる.
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