研究概要 |
黒ボク土を中心として有機質土壌の構造特性を示す物理量を評価し指標化を試みた. とくに黒ボク土の保水性と構造性の関係における土壌有機物の機能を重視して研究を進めた結果, それらの関係について, 次のような結論をうることができた. 1.黒ボク土層は有機物含有量が深さとともに減少するように堆積している. それに応じて土層断面の性質が分化し, 土壌物理性, 保水性および構造性の指標は深さの方向に定まった変化の傾向がある. 2.有機物含有量の質量表示と容積表示を比較した結果によれば, 容積表示の方が土壌構造によく対応し, 構造指標として価値が高いことがわかる. 3.黒ボク土の構造を鉱物質・有機物・液体・気体の四相系で表示し定量すれば, 土壌構造量をよく反映することが明きらかとなった. したがって, 質量表示よりも有機物の機能した容積表示による四相分布による土壌集合体の分類がすぐれていることがわかった. 4.黒ボク土層の通気性, 透水性など透過性の特徴は, 土層の構造とよく一致しており, 透過性によって土壌構造を分類することも可能であることがわかった. したがって, 骨格構造としての団粒構造と間ゲキ構造の指標としての透過性とはよい相関を示している. 5.団粒分布の指標としては, 団粒係数によるものが比較的汎用性があり, 多くの物理量と対応している. しかし, この点の詳細については, なお一層の検討の余地が残された. 6.透過性のバラツキは対数正規分布に従うことが統計的に解明された. したがって, 透過性の採土必要数は対数値をとった値で考える方がより合理的であることが明きらかにされた. 7.土壌集合体をはじめ土壌物理量の多くはそのバラツキに正規性があり, 平均値決定のためのサンプル数は誤差率によって単純に求められることが確認された. 以上より, 土壌集合体分類基準化の基礎的データとしての土壌物理量の性格とその相関性の特徴を明きらかにすることができた.
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