研究概要 |
舗装を構造体と考え, 力学計算を行って舗装厚を設計しようとする合理的設計法は, 舗装構成材が必ずしも通常の弾性体としての挙動をしないことや, 車輌の通過に伴ってその性質が変化するなどのことから, 国の内外での研究は多岐に亘っている. 筆者の研究の内容は以下の通りである. 1.舗装構造の力学計算 この計算は, 舗装構造を多層系弾性体と仮定し, 軸対称問題を理論的に解析することを基礎としている. 構造設計となると, 力学的に破壊に対して安全であることが条件となる. その破壊の発生場所は必ずしも載荷面の中心線上ばかりではない. その理由を過去に報告したが, その後のひび割れの伝播経路も解析しようとして, 有限要素法による解析も試みている. 2.安定処理土の曲げ引張試験 コンクリートや安定処理土のように圧縮に比べて引張に対して極端に弱い材料の曲げ破壊に対しては, JISに定められた試験法がある. しかし, そこで用いられている曲げ公式だけでは説明できないとの疑問を実験から得た. この疑問を説明するために, 応力関数法によって応力・ひずみを一層厳密に計算した. それによって, 先の疑問を説明できる資料を得た. さらに, 有限要素法と剛体バネモデルとによって, ひび割れの発生と伝播経路も追求し, 実験結果との対応性が得られることを確認した. 3.繰返し載荷試験 舗装構造は車輌の通過に伴う繰返し載荷を受け, それによって舗装構成材の力学的性状が次第に変化してくる. そのため, 路床土についての繰返し載荷装置を作製し, 室内実験によってこの影響を調べている. その結果, 繰返し載荷によって力学的性状が変化し易い試料とそうでない試料およびその条件などが一部わかりつつある.
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