研究概要 |
ウサギ乳腺に存在するプロラクチンリセプター(以下PRL-R)の同定を行なった. ミクロゾーム分画のPRL-Rを可溶化した後プロラクチンを結合したカラムを用いて精製した. このPRL-Rを抗原として二種類の異なる特異的なモノクローナル抗体(以下MAb)を得た. MAbの持つ高い特異性を利用して, PRL-Rの同定を行なった. PRL-RとMAbとを反応させ得られた免疫複合体をSDS電気泳動により分析した. その結果分子量41,000と77,000の二種類のPRL-Rが検出された. 又, 移動度が還元剤により変化しないことから, 二つのPRL-Rは独立して存在すること, SS結合で他の蛋白質に結合していないこと, がわかった. 最初にPRL-RをSDS電気泳動法により分離しニトロセルロース膜に転写した後でMAbで検出したウェスタンブロット法においても結果は同様であった. 又, これらのPRL-Rにプロラクチンが結合すると, それぞれの分子量は60,000あるいは99,000に増加した. 増加の程度(19,000, 22,000)が, プロラクチンの分子量とほぼ等しいことから, 一分子のPRL-Rと一分子のプロラクチンが結合することを示している. 泌乳中の乳腺では, 分子量41,000のPRL-Rが多く存在していた. 次にPRL-Rと結合することに起こるプロラクチンの代謝について明らかにした. 培養温度及び時間依存的に結合プロラクチンの代謝が認められた. 代謝プロラクチンの特徴は, 大きなSSループ内に切れ目を持ち, 二つの断片はSS結合により結ばれている. 還元剤で処理すると特異的にプロラクチン断片が検出出来た. 主な断片は, 19,000, 16,000であり, 最も小さい断片は分子量4,500である. 37°C, 16時間の培養後では約25%のプロラクチンにこの現象が認められた. この反応は, トリプシン分解阻害剤により疎多されることから, トリプシン様作用を持つ蛋白質分解酵素により起こるものと考えられた.
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